【読むサプリ~140字の日常哲学~】

記憶たちとの決別

2019年3月27日意味深

〈読むサプリ~140字の日常哲学~〉


子どもの頃から、何百回何千回と死んだらどうなるのか考えてきた

経験することすらできないのに

今もこうして考えている

答えが欲しいわけじゃない

永遠の命を望むわけでもない

では何に怖れをなしてしまうのか

それはサヨナラすること

すべてのモノやコトにサヨナラすること。

(店長!もうすこし聞かせて!) 

  
シロッピ
シロッピ
てんちょー。いよいよ人間の「死」についてだね。
シロンボ店長
シロンボ店長
やぁ、シロッピ。そうだね、けど最初に大事なことを言うよ。 「死」について話してゆくけど、決してネガティブに捉えないで欲しいんだ。
シロッピ
シロッピ
うん、やっぱり暗い話になっちゃうから?
シロンボ店長
シロンボ店長
ううん、少し違うかな?
かといって無理に明るくポジティブに話すことも無いよ。

どちらでもない状態、つまりフラット、またはニュートラルな状態で話をしたいんだ。
シロッピ
シロッピ
わかった。平常心だね。
シロンボ店長
シロンボ店長
うん、まあそれでもいいかな。ではさっそく・・・「死」ってなんだと思う?
シロッピ
シロッピ
うおっ、イキナリだねっ。 えっと・・
<goo国語辞書>によると・・ ※生命がなくなること。死ぬこと。また、生命が存在しないこと。

生命がなくなることだって。
シロンボ店長
シロンボ店長
なるほど・・その「生命」ってなに?
シロッピ
シロッピ
そんなの、命だよ命。人間がみんな言ってるよ、命を大切にって!
シロンボ店長
シロンボ店長
だからその大切だとみんなが言ってる「命」ってな~に?
どんなカタチしてるの?

何で出来ているの?

どこからやって来たの?
シロッピ
シロッピ
ん~~、もう目に見えないんだからわかんないよ!・・あ、でも人間自体が見えているから見えるとも言うのか・・
もう、命に関しては色んな情報がありすぎてどれを信じていいかわかんないよ~
シロンボ店長
シロンボ店長
ハハ、ちょっとイジワルしてみた。
そうそう、明確な答えが無いから哲学は面白いんだもんね。「命」の定義は定まっていないよ。それこそ色んな解釈があって、とくに信心しているものがなければ、わりと自由に議論できるよね。

まぁザックリ言ってしまうと、ん~・・それでも難しい。
ではその命というものが無くなったとすれば、その生命活動は終わるというのはわかるよね?
シロッピ
シロッピ
生命活動停止と言ってみれば、多少はわかるかな、”冬眠”は生命を維持するためのものだから死とは言わないよね。うん、じゃあ死は生命活動停止。まって、脳死という考えもあるよね・・
シロンボ店長
シロンボ店長
…マズイぞ。話が進まない・・。
ではこうしよう。普通に日常生活を送って来た人が、「死」に対して恐怖を覚えるのはどうしてか?
シロッピ
シロッピ
そだね。・・・というか最初から「死」がコワいのはどうしてか?で良かったじゃん。
シロンボ店長
シロンボ店長
まぁまぁ。死というものがあるとして、人間にとって永遠にも等しいテーマだから・・・それで、人間はその「死」を経験することができないのにどうして怖がると思う?
シロッピ
シロッピ
そっか、本当の「死」は経験できないもんね。生き返った人いないし。完全に死んでしまう以前のどこかで意識は無くなるわけだから認識、記憶することはできない。つまり経験できない。。
じゃあなぜ・・
シロンボ店長
シロンボ店長
そう、意識が完全に無くなる、つまり自我の消滅というものが必ずある。そのことをもちろん意識のある状態でイメージするから怖いんだ。
もう少しわかりやすくいうと、記憶の消滅。
シロンボ店長
シロンボ店長
大切なひと、モノ、こと。
どれかひとつとっても寂しかったり悲しかったり傷ついたりするよね。多少つらい思いをした過去だって時間が経つといい思い出に変わっていたりする。

今自分のいる周辺をぐるりと見渡した範囲の中の物ですら、ほとんど知っている物だらけだよね。
床、窓、本、コード、ほこり、光、ゴミ、音、スリッパ、監視カメラ、ほとんどが知り合い。

何十年も新しい情報を取り入れ、更新もし続けてきた。考えただけでも膨大な情報量だよね。
シロンボ店長
シロンボ店長
もちろんその情報全てが長期記憶できるわけじゃないし、いつでも引き出せる状態にないものが多いけど、あまり重要でない物事は一度でも認知している可能性が高いからね。
つまり、その記憶のすべてが無くなるということがとってもイヤなんだ。ほら、人間は一度手にしたものは手放したくないでしょ?得る喜びより、失う怖さの方が勝っているからね。
シロッピ
シロッピ
なるほどぉ~・・おぼえたもの全部、知っているものすべてとの決別かぁ・・イメージすると変な感じになってくるね。
シロンボ店長
シロンボ店長
怖さの理由はそれだけじゃないよ。さっき話したけど、「死」というものが、つまり死んだ”あと”があると仮定した場合、自分が一体どうなるのか結局のところわからないから怖いんだ。
『わからない』ことは動物にとって、とても怖いことなんだ。
シロンボ店長
シロンボ店長
イメージしてみて、道の真ん中に箱がトンと二つ置いてある。その中のひとつは毒ヘビが入っていて「毒ヘビ注意」と書かれている。
もうひとつは「?」と書かれていて何が入っているかは分からない。
・・・どう?どっちがこわい?僕はもちろんヘビが大っ嫌いなんだけど、本当に怖いのは何が入っているかわからない箱の方。爆弾かも知れない、揮発性の毒物かも知れない、あるいは人の・・あ~ダメだダメだ。考えただけで怖くなる。
とまあこんな風に生命維持の危険回避のために色んな事を想定しようとするよ、ちなみに人間の表情の中で一番怖いと言われているのは無表情、仮面も表情を隠すから怖いよね。
シロンボ店長
シロンボ店長
そうそう、「箱の中身はなんだろな」というテレビなんかでよくやってるゲームは、まさに得体の知れないものにまず触れなきゃいけない、という分からないものへの恐怖感をうまく利用したゲームだよね。
まあゲームという前提がわかっているから極めて危険なものではないはず、ということはわかっているけど。
シロッピ
シロッピ
へ~。ミーはまだ分からないことだらけだからそれに対してはワクワクしているよ。ただまだ恐怖という感じがわからないから、そんな経験をしていないからだろうね。
シロンボ店長
シロンボ店長
うん、けどワクワクするのはポジティブでいいよね。あと直接的でも間接的でも死につながりうる病気、人類の半数以上は病気で亡くなるから、その痛みや苦しみが怖いのは確かだよね、日常の会話の中でも、いわゆる「死ぬときはポックリ逝きたいね」というのは色んな人が言っているよ。
シロンボ店長
シロンボ店長
あと面白いことに皆、永遠に生きていたくもないって言うんだ。「永遠」がどういったものなのか実際にわかってないからニュアンスで言っていると思うんだけど、心のどこかに「生きるのがメンドクサイ」っていう想いがあるのかも知れないね。僕も何度か考えたし。
シロンボ店長
シロンボ店長
まとめるよ、、 人間は死ぬのが怖いんじゃなくって、全てのモノやコトとさよならするのが一番寂しいのかも知れない。 ということかな。
シロッピ
シロッピ
そっかぁ~・・なんか寂しくなってきたな~、情報を収集するのやめようかなぁ~・・グスン。。
シロンボ店長
シロンボ店長
まぁまぁ、それはそれで寂しいじゃない。せっかく知的好奇心を抱えて誕生したんだからさ。自分自身で生きる意味ってものを決めてみようよ。
シロンボ店長
シロンボ店長
そういえばお釈迦さんはこんなこと言ってたらしいよ。死んだあとのことなんて語る必要は無いって。 無いことの心配しても、しょうがないって事なのかな。 在ることも無いことも無い世界を思いつくくらいの人だからね。 それについてはまた後でっ。
シロッピ
シロッピ
あ、在ることも無いことも無い世界!? そんな・・。
シロンボ店長
シロンボ店長
ホッホ。
今日はこの辺にしておきましょう。。

では今日も最後までおつき合いしてくれた方、ありがとうございました。